ビヨンドトゥモロー(一般財団法人教育支援グローバル基金/東京都渋谷区)は、虐待や親の死などさまざまな事情で社会的養護が必要な子どもたちに、奨学金の支給や人材育成プログラムを提供している団体です。子どもたちが逆境に負けることなく進学や夢を追い続けられるような体験を提供するための取り組みとして、この夏長野で初めて「サマーリトリート2022」という3泊4日のプログラムを行いました。こちらのプログラムは「挑戦」をテーマにし、全国から10名の高校生が参加しました。プログラムを通して大学生や大人の挑戦を聞き、自分自身の提言に落とし込むことが狙いです。今回、市民協働サポートセンターは「挑戦」をテーマにした講演と大学生との座談会をコーディネートするお手伝いをしたため、その様子を取材しました。
大人代表として講演をしたのは、株式会社ふろしきや代表の田村さん。田村さんは京都府出身、千曲市に移住し、ワーケーションの推進や現在立場を超えた協働を実現するための“まとめ役”として活動しています。田村さんは、自身の経験やキャリアを話す中で「キャリアは創るもので正解はない。多様な働き方に対して自分自身の得意を生かして選んでいける」と話した上で、自分の得意の見つけ方のアドバイスがありました。今回のこのプログラムのテーマである「挑戦」については、自分自身を創り出すための機会であり、とても前向きなトライ&エラーであると話している姿が印象的でした。また、田村さんは「私たちは“社会をよくする権利”を持っている。自分の一歩が社会をよくしていくことにつながっている」と話し、笑顔が広がることで応援の輪が広がっていく素晴らしさ、仲間と協働の形を描く面白さを語りました。その後学生からの質問では、事業や協働の場を提案する際に自分が大事にしていることはなにかと尋ねられると、「何回もコミュニケーションをとりながら、一緒にいいものを創っていこうという意識で提案をしていく」と答えました。
次の日は、学生団体ユースリーチに所属する学生を含む、5人の大学・大学院生のパネルトーク。それぞれの学生から、進路の選び方や今力を入れて取り組んでいること、将来の夢を同世代の先輩の目線で語ってもらいました。自分の好きや得意を生かしたいという思いや「これだ!」という直感から進路を選んだという学生もいれば、「自分がどれだけ楽して興味のあることができるか?」という独特のベクトルを持って進路を選択したという話もあり、十人十色の考え方を知ることができたようです。
その後、2~3人のグループに分かれてトークタイム。今後の進路の考え方や自分の興味があることを突き詰めるためのヒントを得ようと話す参加者の姿が印象的でした。パネリストとして登壇したユースリーチ代表志水太樹さんは、「質問もたくさん出てそのアクティブな姿に驚いた」と話しました。中には、一人暮らしの様子や知恵を教えてほしいと話す参加者もいました。
プログラムの最後に、参加者は今回の学びを生かした提言を発表しました。提言発表会では、挑戦したい人をみんなでサポートする仕組みづくりを行う「クラッシャー」という団体を作るというアイディアや、挑戦したい人や失敗してしまった人を励ます「こどもばぁー」というバーを開くというユーモアなアイディアが発表されました。
このプログラムを主催した同財団の上羽さんは、「コロナ禍で若者の生の体験の場が減っている中で、こうして全国の仲間と集い、直接自分の目で見て考える経験をすることで生まれる高校生たちの熱量に圧倒された」と話しました。
今回の体験を通じ、学生たちの心には挑戦に対してとても前向きな思いを持ち、「やってみたい」思いに火がついたようです。こうした若者たちの後押しができる、迷ったり悩んだときは支えてあげられる社会を目指していきたいと思いました。