【開催報告】
NPOカフェまんまる「親の会を知ろう!」

 長野市内には、障がいのある子どもを育てている親が運営している様々な「親の会」があります。市内で活動している親の会同士がつながることで、お互いの活動のヒントや障害の理解を深めたり、市民活動団体や住民自治協議会など地域で活動している人が親の会を知ることで、多様性を認め合える地域社会を構築する一歩となることを目指して、3月4日に開催しました。
 NPO関係者、住民自治協議会、市民活動団体、学生、個人など32名が参加しました。


第一部:各団体の活動紹介

◆ダウン症長野ひまわりの会 久保さん
 ダウン症の子どもを育てている親の会です。毎年3月21日は国連が定める世界ダウン症の日です。2023年3月21日に第一回にこにこフェスタを開催し、ダンス発表やニコニコ笑顔の写真展などを行い、県内外から87組300名近くが参加しました。
 「うちの子、ダウン症なんです」と言ったら近所の人に「あら、かわいそうに・・・」と言われました。社会が思う「ダウン症」のイメージが良くないのでは?と感じています。今年も3/23ににこにこフェスタを開催します!「障がいがあることは不幸じゃない」を伝えていきたいです。

◆長野県LD等発達障害児者親の会よつ葉の会 青木さん

よつ葉の会は全県の組織で、4支部に分かれています。現在は発達障がいの講演会・勉強会、茶話会を中心に活動。茶話会は年4~5回実施。子育ての先輩から、学校との関わり方などの知恵を共有してもらう貴重な会になっています。親の会があったから、我が子(現在28歳)もしっかり育ったのでは?と感じています。

◆長野県自閉症協会北信地区いとぐるまの会 花石さん

いとぐるまの会のお子さんの年齢は、5歳から40代以上と幅広い年齢層。年1回の学習会と茶話会が活動の中心です。言葉でのコミュニケーションが難しい子が多いので、コロナ前まではiPadを活用したコミュニケーション術を学ぶイベントを企画していました。毎年4月2日は国連が定めた世界自閉症啓発デー。今年はよつ葉の会と一緒に企画しています!

◆北部発達相談支援センター 熊谷さん

長野市障害福祉課の委託を受け、専門の相談員を配置しています。長野市在住の0~18歳の子どもの相談が対象。福祉サービスの提案や障害者手帳、手当の相談など子どもの発達についての相談が多いです。福祉サービスを使うほどではない、日々の困りごとを聞くこともあります。お気軽に電話ください!


第二部:テーマトーク
最初のテーマは「余暇の過ごし方」です。障害のある子どもたちは、放課後や休日にどんなところで過ごしているのでしょう?

青木さん
小学校の頃は電車が大好きで休みの日はもっぱら一緒に電車に乗っていたな。発達障がい児は趣味に偏りがあるから、一旦好きになると、のめりこむ。それはすごく大事。日中はみんなに合わせて大変なことが多いので、放課後は趣味に没頭させていました。それが今も役立っていると思う。

久保さん
一般のイベントは出かけにくいです。にこにこフェスタも楽しみのひとつにできたらいいな。わが子は成長がゆっくりだけど、人が大好き。利用している放課後等デイサービスのなかでお出かけの日があり、白馬でトランポリンを楽しんだりしています。家族以外の支援者と過ごすいい機会。いろんな支援者とつながることが将来的に大事だと思っています。

立岩さん
いとぐるまの会に所属しています。32歳の息子は靴の量販店で働いて十数年になります。趣味は囲碁。地域のおじさんと一緒に囲碁をやったり、夜に一人でやっている。鉄道も好きで、一緒に楽しむ仲間がいるのは、「家族以外の他人を信頼することが大事」と教えることも親の役割だと思っていたのが影響しているのかも。

松本さん
ダウン症の息子はまだ4歳なので、「これは!」というものを見つけてほしい。そのためにいろいろ連れていきたい。鉄道が好きだから鉄道の仕事に就いてくれたら・・・と思っていたら、鉄道は趣味だと言われた。親の思うようにはならないね。


次のテーマは「災害時の避難について」です。
「災害時に避難所行く?」という問いかけに対して、

立岩さん
避難所は難しいな。養護学校に行ってしまうと地域とのつながりが途切れがちになるので、自分から地域の避難訓練とかに参加しないとなかなか・・・

松本さん
息子は初めての場所が苦手、騒がしいところが苦手なのでキャンプの準備をしています。

久保さん
市町村によって福祉避難所の開設条件が違うことをまったく知らなかった。災害時に助けを求めるかどうか?を市に提出できる制度があることを最近知ったので、まずは知ることが大事だと感じた。災害の種類(水害、震災)によっても対応は変わってきそう。地域の避難訓練に初めて参加しました。防災意識の高い地域で、初めて自分の子のことをちゃんと話せてよかったです。

青木さん
台風災害の時に一日だけ避難したけど大丈夫でした。息子は外に出たいタイプなので、逆にコロナ禍で出かけられないときに気持ちが落ちていました。普段と違うことが長く続くことが無理。でも、それは一般の人も同じではないか?福祉避難所があれば解決されるものでもないと思う。

会場から「災害時の食べ物で困ったことは?」との質問がでると、

青木さんからは「個人差があって、白米しか食べない人もいる。そういう人は家で用意しているはずなので、逆にそれについていろいろ言わないでくれるとありがたい」と話が出ました。

久保さんからも「ダウン症の子も偏食が多いです。ローリングストックを普段から意識したい」と言われ、障害の種類は違っても同じことに悩んでいることが分かりました。

松本さんは「うちは普通食が食べられないので災害時は本当に心配。今は、月齢に合わせて食べられるベビーフードをストックしています。避難所対応は難しいので、自分でどうにかしなきゃと思っています」と語り、災害時は家庭の負担が大きくなることを伝えていただきました。


第三部:交流タイム
各団体に分かれての交流タイムです。
いとぐるまの会のテーブルでは、「子どもがまだ小さいので激しい子になるかおとなしい子になるか分からないけど、話が聞けて良かった」という感想からそれぞれの子育てについて話題が広がりました。
「地域に親の会があることを初めて知った。災害のときに協力しえあるといい」という感想に対して、教員になる学生から「災害時に車中泊やテント生活をした場合、避難所以外で避難している子どもの安否確認は学校がするのだと思う。どのような取り組みができるか考え続けていきたい」など今後に向けての話題が続きました!

        


今回は、地域で障害のある方と関わりをもっている方やこれから障害のある方と関わる学生、いま子育てに悩んでいる保護者など様々な立場の参加者が集いました。今までになかったつながりが生まれたり、参加者の声にもあるように「知る」ことの大切を感じる時間になりました。

●アンケートに寄せられた参加者の声
・来年度事業を考えるための参考になった。知ることって大切!
・関連団体の紹介が聞けて良かった。交流タイムは時間が短かった気がします。
・知見が広がった。さまざまな親の会があることを知り、活発な活動ぶりに勇気づけられた。自分が何かできるか考え行動したいし、周りの人にも伝えたいと思った。
・「好きなことを仕事に」が必ずしも正解ではなく、「好きなことを趣味として続けるために、あえて興味のないことを仕事にする」という生き方があることを新たに学べた。

今回は参加が叶いませんでしたが、一般社団法人医ケアの輪のパネル展示も行いました!


各団体のホームページです。詳しくは各団体にお問い合わせください。

ダウン症長野ひまわりの会
http://downhimawari.blog.jp/

長野県LD等発達障害児・者親の会「よつ葉の会」
https://ldyotuba.naganoblog.jp/

長野県自閉症協会北信地区いとぐるまの会
http://itogurumanokai.doorblog.jp/

一般社団法人医ケアの輪
http://ikeanowa.site/